1972年ミュンヘンオリンピックでの事件について

新型コロナウィルス感染症の影響を受けて1年延期となった東京オリンピック・パラリンピック2020が遂に開幕しましたね!

テレビで日本代表の試合を観戦したいところですが、やはりドイツではドイツ代表の試合がピックアップされて放送されるため、日本の試合はあまり放送されていません・・。ドイツのゴールデンタイム(19時~)は日本の夜中という時差問題もありますね。

さて、シリアスな話になりますが、過去にオリンピックという世界大会でテロ行為があったことをご存知でしょうか。パレスチナ問題が世界に注目されるきっかけとなったミュンヘンオリンピックでの事件について記述します。

1972年ミュンヘンオリンピック事件

ミュンヘンオリンピック事件とは、1972年9月5日オリンピック開催期間中のミュンヘンで起こったテロ事件です。実行犯はパレスチナ解放機構の中でも過激派であった「黒い九月」と言われる武装組織です。彼らはイスラエル選手団の宿舎を襲撃し、選手やコーチを人質にとりパレスチナの解放を訴えました。ドイツ警察との銃撃戦の末、人質11名全員の命が失われる惨事となりました。

テロを防げなかったドイツ警察

テロを防げなかった一つの原因として、当時ドイツ警察のテロへ危機感の薄弱さがありました。

ミュンヘンオリンピックでテロが起きる直前にも黒い九月によるテロは各地で発生していました。1972年上半期だけでも、2月にハンブルクの電力施設とオランダのガス施設に対する破壊工作、 5月にウィーン発のサベナ航空572便をハイジャックし乗客を人質にりました。(イスラエル特殊部隊により救出される)

余波があったにも関わらず、ドイツ警察は未然にテロの発生を防ぐことができませんでした。当時のドイツは対テロ作戦を専門とする部隊は設置されておらず、対応は極めて混乱状態で、人質の救出作戦にも失敗し人質全員の命を失う結果となってしまいました。この事件から教訓を受け、テロ対策を主な任務とする特殊部隊 GSG9(国境警備グループ9) の設立がされました。

映画「ミュンヘン(Munich)」2005年製作

ミュンヘンオリンピックで起きた事件とその後がスティーヴン・スピルバーグ監督により映画化されていますので紹介します。

映画「ミュンヘン(Munich)」2005年製作

2005年にアメリカで製作されたこの映画は、ミュンヘンオリンピック事件の惨劇について描かれているのかと思いきや、その後のイスラエル諜報特務庁(モサッド)による黒い九月に対する報復作戦を焦点に描かれています。

報復のためにイスラエル政府が集めた暗殺部隊がパレスチナのテロ首謀者を次々と暗殺していくというお話です。

これが実話とは到底思えないような内容です。負の連鎖は続くとはこういう事だな・・と。

犠牲者を東京オリンピック開会式で初の黙とう

犠牲者の親族は長年にわたり国際オリンピック委員会に対し、犠牲者への追悼を求めていました。しかしこれまでのオリンピックではその要求は実現せず、事件から49年後の東京五輪でついに実現しました。森山未來さんが白装束姿で「踊り」のパフォーマンスをされた後、ミュンヘンオリンピックで亡くなったイスラエルの選手達へ追悼祈りがささげられました。森山未來さんはイスラエルのダンスカンパニーに在籍していた経験があるそうですね。


事件が起きるまではパレスチナ問題についてそれほど注目されることはありませんでしたが、このテロによりパレスチナ問題が世界的に知られるようになりました。そして昨今でもパレスチナ自治区ガザ地区での空爆のニュースを耳にするように、この問題は今現在も未解決のままです。

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